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発表の前

3月23日(金) 雨が降っていた。イヤな雨だ。いつもの通り会社へ向かう電車の中。1人の女の子がうつろな目で遠くを見ていた。席が空いているのに、座らずに、その子はどこか違う次元にいるみたいであった。そして、電車が会社の最寄り駅に近づいてくると、乗ってくる乗客がいつもより多くて、違う車内の風景であった。あれ?っと見渡すと、車内がいつもより混雑していた。それも、娘と同じくらいの子がたくさん。それもバラバラの制服。そうだ。今日は後期公立試験の合格発表だった。たぶんK高校を受験した者だろう。友達同士で乗っている子は、すごくハイテンションで、明るい声が聞こえる。でもこれは発表前の空元気だろう。親と一緒に見に着ている子は、お母さんとコソコソ話。そして、1人でいる子は、黙ったままで、どちらかというと、無の状態であった。しかし、早くから乗っているあの子は、斜め上を見ていた。天井を見て何を考えているのだろう。

駅に到着し、そのK高校に向かう傘を差した受験生の列を眺める。あと、30分で合否がわかる。友達と明るく振舞っていても、大勢の列すべての背中は不安で一杯であった。私はひたすら祈るしかなかった。私の娘は運が良かっただけで、本当なら、私はパニック状態で家で待機していたことだろう。

本来なら、後期試験は、不合格者が少ない。滅多に落ちないはず。しかし、橋下さんのおかげで、受験生達やその親たちは振り回されている。公立高校の生徒数を減らし、私立高校に増員する政策に出たので、後期試験でも、100人中17人が落ちる。それも進学人気校は、半分も落ちる。まだ15歳なのに、前期試験、後期試験をどちらもすべる子がたくさん出てくる。いや、15歳からでもこの苦しみを味あわせて、競争社会の辛さを知ってもらう政策なんだから、当然の仕打ちなんだろう。

娘は本当に本当に、ただラッキーだったのだ。

仕事帰り、雨がやんで、夕ぐれが綺麗だった。 駅に近づくと、重い荷物を抱えた生徒と親の姿がたくさんあった。そうだ、K高校を受かった子達は、昼から入学説明会のはずであった。その入学説明会のあと、教科書をたくさん購入して、親と一緒に帰っているところであった。

信号を渡ると、向こうの方から、友達と明るい話をしながら渡っている子がいた。「あの子」だった。あんなにうつろに遠くを見ていたあの子が、笑って横断歩道を渡っている。ちょっとはにかんだような笑顔で友達と歩き、そのあとを保護者が付いていっていた。合格したんだ!すごく嬉しい気分になった。

帰りの電車は重い荷物を持った生徒達が、「もう勉強しなくていいんだ。」「これから何しよう。」「春休みって登校日があって、思ったほど休みが無い」など明るい会話が聞こえ、それを見守る安堵する母親達。今日は思いっきり弾けて下さい!!!

その日着ていたシビラのワンピースです。ウールサークルくるくるプリントワンピースグレーパープル系ループタンクトップパープル系にコーディネートを追加しました。

2012年9月16日 miekotaro |


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